「いつどこ」ネットは、高齢者痴呆介護研究・研修東京センターケアマネジメント推進室が運営する「新しい痴呆介護」のためのサイトです。「センター方式」ケアマネジメントの紹介と関連する情報を提供しています。

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【1】 これからの痴呆ケアに求められる視点

○ 2015年の高齢者介護のあるべき姿について検討するため、厚生労働省老健局長の私的研究会として平成15年3月に設置された高齢者介護研究会は、同年6月に「高齢者の尊厳を支えるケアの確立に向けて」と題する報告書を取りまとめ、高齢者ケアのあり方を巡る今後の課題と2015年までに実現すべき方策について具体的に提言している。

○ 報告書では、最近の要介護認定のデータを基にわが国の痴呆性高齢者の将来見通しを示した上で、今後の高齢者介護は、身体的障害よりもむしろ痴呆性高齢者に対応したケアを標準として位置づけ、利用者本位の考え方に基づく痴呆ケアの方法論を確立し、それを普遍化することが必要であると指摘している。

○ 痴呆性高齢者の特徴として、記憶障害や見当識障害が進行していく一方で、喜びや悲しみなどの感情や思いやり、自尊心などは、痴呆が相当進行した段階までしっかり維持されることが珍しくないことはよく知られている。直近の出来事の記憶がつながらないことに加え、自分の周囲の状況を正しく認識することができないために、痴呆性高齢者は、いつも強い不安・ストレスを感じながら暮らしている。さらに、生活環境や周囲の者の接し方によっては、強い不安・ストレスを背景として、焦燥感、喪失感、怒り等を覚えることになる。徘徊、せん妄、攻撃的な行為、身近な人をわざと困らせるような言動など、痴呆性高齢者にみられる行動障害の多くは、このような周囲の不適切な対応によってもたらされる不安・ストレス、失望、怒り等が発端となって惹き起こされるものであり、いわば「作られた障害」として考えるべきものである。痴呆性高齢者の特性を周囲の人々が十分に理解して、本人の人格を尊重し、その人らしさをどう支えるかという視点で接することが痴呆性高齢者のケアには不可欠である。

○ ところで、こうした考え方に基づくケアのあり方を現場での実践につなげていくためには、まず、痴呆性高齢者本人が歩んできた生活歴やその人の個性(人となり)を把握することが求められる。その上で、本人の希望やペースに合わせて、ゆったりと安心して一日を過ごしながら、その人の持つ心身の力を最大限に活用して充実した暮らしを送ることができるよう支援するため、生活そのものをケアとして組み立てていく発想が重要となる。

○ このような考え方に基づいたケアを現場に浸透させていくためには、まず、痴呆性高齢者の理解と生活支援のために必要な視点をアセスメント手法として標準化するとともに、ケアプランへの生かし方やサービス提供体制をも含めたケアマネジメントの方法論として確立し、市区町村行政とも協働しながら地域の包括的なケアシステムの中で機能させていくことが求められる。

○ 介護保険制度にケアマネジメントの仕組みが位置づけられたことを契機として、現在まで、いくつかのアセスメント手法が普及してきた。これらのアセスメント手法は、今日の在宅及び施設における介護サービスの質の向上に大きく貢献してきたが、その一方で、痴呆性高齢者の生活支援のためのツールとしては、解決すべき課題が残されており、痴呆性高齢者のその人らしさを支えるケアの実現を目指すものとはなり得ていないとの指摘がある。


【2】 「センター方式03版 痴呆性高齢者ケアマネジメントシート」
    開発の経緯


○ こうしたことを背景として、東京、仙台、大府の各高齢者痴呆介護研究・研修センターでは、平成13年度から、痴呆ケアに係わる有識者により構成する研究班を組織して新たなケアマネジメント手法の開発に取り組んできたが、同研究班の3カ年にわたる研究の成果として、平成15年度には「センター方式03版 痴呆性高齢者ケアマネジメントシート」が取りまとめられたところである。

○ この「センター方式03版」は、高齢者の尊厳を支えるために、痴呆の初期からターミナル期まで継続的なケアを実践していくことを目指し、関係者が新しい痴呆ケアの共通の考え方を基盤として、ケアマネジメントを継続的に展開していく方法である。利用者や家族も含めて、ケアに係わる個々の関係者が持つ情報や気づき、ケアの具体策を利用者中心に集約、継承しながら良質なケアを提供することを主なねらいとしている。


【3】 平成16年度 痴呆性高齢者ケアマネジメント
    推進モデル事業への展開

○ 開発に当たった研究班では、これまでも、特別養護老人ホームや老人保健施設、グループホーム、デイサービスセンター、居宅介護支援事業所など、在宅及び施設介護の現場の第一線で痴呆性高齢者のケア及びケアマネジメントを実践している専門職による試行を繰り返しながら、改善のための検討を重ねてきた。

○ 平成16年度は、この「センター方式03版」をベースとして、15年度までの調査研究の過程において集約された現場の介護関係者の意見を反映させて、内容の改善を図るとともに、名称も「痴呆性高齢者ケアマネジメント センター方式」(以下、「センター方式」という。)及び「痴呆性高齢者ケアマネジメントシート センター方式(選択式)」(以下、「センター方式シート」という。)と改めることとした。

○ さらに今年度は、全国の介護現場において痴呆介護に係わるケアマネジャーや介護職員及び利用者家族の方々の意見を集約して、この新しい「センター方式」及び「センター方式シート」をより使いやすい内容とするため、全国16カ所のモデル地域を設定して、域内の在宅及び施設サービスにおけるケアマネジメントプロセスにおいて実際に活用していただきながら、一層の内容充実に向けた実証的研究と検討作業を進めることとする。

○ 高齢者の尊厳と、その人らしい暮らしの継続を支える痴呆ケアを標準化するためには、痴呆性高齢者の状態を適切に把握し、その状態に応じた適切なケアマネジメントが展開されることが必要である。そのためにも、「センター方式」と「センター方式シート」の完成度を高め、痴呆性高齢者に適した標準的なケアマネジメント手法としての確立を目指すとともに、痴呆性高齢者に対応した新たなケアモデルを具体化するものとして全国の介護現場に広く普及させることを目的に本モデル事業を実施する。


【4】 モデル事業の内容

(1)中央検討委員会の設置
痴呆ケアの専門家等による20名程度の検討会を設置する。

(2)モデル地域の設定
全国に16か所のモデル地域を設定し、以下の要領により「センター方式」の検証を行う。

> 1 モデル地域で、実際に「センター方式」を試行するために、学識経験者、行政関係者等による地域検討委員会(数名で構成)を設置し、協力事業者(施設及び居宅サービス数種類)を選定
> 2 地域検討委員会事務局説明会の開催及び協力事業者・モデル自治体への研修の実施
> 3 「センター方式」の試行
> 4 試行結果による実効性の検証、要改善点の整理
> 5 試行結果のまとめ、中央検討委員会への報告

(3)モデル地域での試行結果報告に基づく実効性の検証
モデル地域での試行結果報告で示された課題に基づき、実効性について検証を行い、必要に応じて「センター方式」のさらなる見直しを行う。

(4)「センター方式」の普及策の検討
痴呆性高齢者に適した標準的なケアマネジメント手法を確立していくための方策として、「センター方式」の普及策の検討を行う。


【5】 モデル事業の効果及び活用

「センター方式」を痴呆性高齢者に適したケアマネジメント手法として確立し、普及させること、介護支援専門員や介護従業者等の研修教材として使用することなどにより痴呆性高齢者ケアの一層の充実につなげることを目指す。


【6】 モデル事業実施事務局

高齢者痴呆介護研究・研修東京センター